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道央 三日目。
ワシらは朝から東へ向かいました。
天気も上々、気温も昨日ほどではなく(昨日は、くっきりとタンクトップ焼けするほどの日差しだった)、快適なドライブ日和。
目的地は「然別湖」です。
途中、川や湖を見つけては「あそこ釣れそうだな」とか「ああいう場所によく潜んでるんだよね」とか、昨日デビューしたばかりの“釣り名人”達が偉そうに講釈をたれていると、何やら雲行きが怪しくなってきました。
狩勝峠の手前です。
ワシ「ま、まあ・・この峠はいつも曇ってんだよ・・」
ジイちゃん「そ、そうだ・・・晴れてる方が珍しいんだ・・」
長男「・・・ふーん・・」
しかし狩勝峠へ近づくと、霧が出てきました。
そして、標高が上がれば上がるほど霧は濃くなるばかり。
ついには視界は10m程度、対向車はライトを点灯していないと直前まで認識できません。
山間を覆う低い雲の中に入ったようです。
ワシ「うーむ・・・どうやらこれは雲の中のようだ」
長男・次男「くも??」
ワシ「うむ。今、我々は雲の中を進んでいるのだ」
次男「ひゃっほーい!!」
ワシ「お前たち良かったな!夢が叶って!思う存分、雲をさわれ!!」
長男「うほー!!ほんとに冷たーい!!」
次男「ほんとだ!冷たい!」
いいぞ、頂上には晴れていれば見晴らしの良い展望台と茶屋があるという事実をこれで隠蔽することが出来る。知ったところで落胆するだけなのだから・・・。
ジイちゃん「お、頂上だ!うまい団子食ってくか」
ワシ「シャラーップ!!!」
峠を越え、雲を抜けてもそこはやっぱり曇り空でした。
霧雨も降ってます。
ワシ「まあ・・ゆっくり行こうよ、あっちは晴れてるかもしれないし」
途中、美術館に寄ったり(金が掛かると言ってやめた)、牧場に寄って、長男が遠くにいる馬たちをテレパシーで呼び集めたり、寄り道をしながら然別湖に到着しました。
どよ〜〜〜〜〜ん
ワシ「・・・・さむっ!」
バアちゃん「ほら、魚がいっぱいだよ!」
長男「おお、すごい!!」
遊覧船の桟橋から湖面を覗き込むと、20センチほどの魚の群れが。
ジイちゃん「ミヤベイワナだ」
残念ながら然別湖では基本的に釣りが禁止されています。
長男「釣りてーなー、ちくしょう」
それにしても天気が悪い・・・。
ここへは何度か来ていますが、こんなにどんよりとした日は初めてです。
上空を覆う雲は厚く、なんだか薄暗いし、霧雨も相変わらず降ってます。
長男「ボートに乗りたい!!」
ワシ「・・・・・・・・・・・・え〜〜?・・・」
ジイちゃん「やめておけ、こんな日に・・・」
長男「しゅっぱーつ!(聞いてない)」
ジイちゃん「ほんとに行くのか?遊覧船にしとけ」
ワシ「・・・しょうがねーよ、すぐ戻る」
結局、長男と二人で手漕ぎボートで湖へ。
2、30分ふらふらと岸の近くを漕いでいましたが、気がつくと湖の真ん中へ。
ワシ「なんか、こういう日に乗ると、けっこう不気味だな・・」
長男「なにが?」
ワシ「なんか水が黒くてさ、波も穏やかだろ?このボートの下に大きい何かが・・」
長男「何かって、なんだよ!」
ワシ「恐竜だよ、首が長いやつ」
長男「そ、そんなのいるわけないだろ!」
ワシ「おまえ、ネッシーとか知らんのか?」
長男「そ、そ、それがいたとしたら、どうなるんだよ!」
ワシ「・・・食われる」
長男「!!!」
ワシ「ある日、ちょうど今日みたいにどんよりと曇った日だったらしい。ワシらのような親子がボートに乗ってこの湖の真ん中へやって来てな・・・今いる場所だ」
長男「・・・・・」
ワシ「どうやら禁止されているミヤベイワナを釣ろうとしていたんだな。二人は糸を垂らすと、あっという間に獲物はかかった。手つかずだから、入れ食いだ」
長男「いいなぁ、そ、そんで?」
ワシ「二人はたった20分で15匹も釣ったらしい。そしてその息子が糸を垂らして数分後、また獲物がかかった。今度は大物らしく、そいつとしばらく格闘しているとボートがバランスを崩して、ひっくり返ってしまった。父親はあわてて息子を抱え、岸に向かって泳ぎ始めた。その時父親に抱えられていた息子は、岸とは反対側を眺めていたんだが、その時見たんだ」
長男「・・・なにを?」
ワシ「水中から現れた、濃い緑色の長い首だ」
長男「ゴクッ・・」
ワシ「その息子は叫び声すら上げることが出来なかった」
長男「そ、そして?」
ワシ「身体の大きさの割には小振りな頭がスッと近づいて、父親の下半身に噛み付いた。噛み付いたというよりは咥えたと言う感じだな。その怪物は息子もろとも冷たい水中へ引きずり込むんだ、バキバキと音を立てながら・・・体はバラバラにされて食べられてしまうし、食べ残しがあっても魚たちの餌になる。それにここは深さが百メートル。沈んだ死体が見つかることは無い。・・・そんな人たちが今まで何人もいるらしいぞ」
長男「ど、どうして、死体も無いのにそんなことがあったって分かるのさ!ただ船が転覆して溺れただけかもしれないじゃないか!」
ワシ「目撃者がいるのさ。ただそんな話、誰も信じないだろ?証拠は無いんだし」
長男「じゃ、じゃあ、その目撃者ってどこにいるんだよ」
ワシ「近くにいるよ」
長男「?」
ワシ「・・・・・お前のジイちゃんだ」
長男「・・・・・・・・・・・・・・・・うそでしょ?・・・」
黒い湖面は波一つなく静寂を保っています。
ゴゴゴゴゴ・・・
何やらエンジン音が聞こえてきました。
長男「あれ!」
長男が指差す先に遊覧船が見えます。
そして船の後部デッキからジイちゃんとバアちゃんが手を振ってます。
長男「おーーーーーい!」
手を振るワシら。
ワシ「ん?シュリ坊はどうした?いるか?」
長男「父ちゃん!!あれ!!」
船内を後方から前方へ走る猿のようなシルエットを発見。
ワシ「あいつ、何をする気だ?」
後ろから慌てて後を追うバアちゃんと操舵手のジイさん。
ワシ「あの野郎、船を乗っ取る気だ!!!」
長男「まさか!」
しかし、操舵室で舵を切ろうと操舵輪に手をかけた瞬間、後から追いついたバアちゃんと操舵手によって敢えなく取り押さえられるシュリ坊。二人の活躍により、シージャック事件は未然に防がれたのでした。
後から聞く所によると、慌てて取り押さえた後、操舵室で記念写真を撮ってやるとご機嫌でその場を去ったとのことです。
長男「ところで本当なの?さっきの話」
ワシ「ん?恐竜の話か?」
長男「うん」
ワシ「そんなもん、いるわけねーだろ」
長男「そ、そうだよね」
ワシ「ネス湖のネッシーだって大規模な調査を何度もしてるのに未だに見つからないんだから、恐竜なんていないのさ、どこにも」
長男「でも恐竜じゃない何かがいるかも知れないよ」
ワシ「ああ、そうかもな、いたら父ちゃんも見てみたいよ」
長男「うん、俺も」
ワシ「さ、帰ろう、時間だし雨で体が冷えちまった」
岸へ向けボートを漕ぎ出すと、暗い水中のその先で、ゴツリとオールに何かが当たる感触がした。

ワシらは朝から東へ向かいました。
天気も上々、気温も昨日ほどではなく(昨日は、くっきりとタンクトップ焼けするほどの日差しだった)、快適なドライブ日和。
目的地は「然別湖」です。
途中、川や湖を見つけては「あそこ釣れそうだな」とか「ああいう場所によく潜んでるんだよね」とか、昨日デビューしたばかりの“釣り名人”達が偉そうに講釈をたれていると、何やら雲行きが怪しくなってきました。
狩勝峠の手前です。
ワシ「ま、まあ・・この峠はいつも曇ってんだよ・・」
ジイちゃん「そ、そうだ・・・晴れてる方が珍しいんだ・・」
長男「・・・ふーん・・」
しかし狩勝峠へ近づくと、霧が出てきました。
そして、標高が上がれば上がるほど霧は濃くなるばかり。
ついには視界は10m程度、対向車はライトを点灯していないと直前まで認識できません。
山間を覆う低い雲の中に入ったようです。
ワシ「うーむ・・・どうやらこれは雲の中のようだ」
長男・次男「くも??」
ワシ「うむ。今、我々は雲の中を進んでいるのだ」
次男「ひゃっほーい!!」
ワシ「お前たち良かったな!夢が叶って!思う存分、雲をさわれ!!」
長男「うほー!!ほんとに冷たーい!!」
次男「ほんとだ!冷たい!」
いいぞ、頂上には晴れていれば見晴らしの良い展望台と茶屋があるという事実をこれで隠蔽することが出来る。知ったところで落胆するだけなのだから・・・。
ジイちゃん「お、頂上だ!うまい団子食ってくか」
ワシ「シャラーップ!!!」
峠を越え、雲を抜けてもそこはやっぱり曇り空でした。
霧雨も降ってます。
ワシ「まあ・・ゆっくり行こうよ、あっちは晴れてるかもしれないし」
途中、美術館に寄ったり(金が掛かると言ってやめた)、牧場に寄って、長男が遠くにいる馬たちをテレパシーで呼び集めたり、寄り道をしながら然別湖に到着しました。
どよ〜〜〜〜〜ん
ワシ「・・・・さむっ!」
バアちゃん「ほら、魚がいっぱいだよ!」
長男「おお、すごい!!」
遊覧船の桟橋から湖面を覗き込むと、20センチほどの魚の群れが。
ジイちゃん「ミヤベイワナだ」
残念ながら然別湖では基本的に釣りが禁止されています。
長男「釣りてーなー、ちくしょう」
それにしても天気が悪い・・・。
ここへは何度か来ていますが、こんなにどんよりとした日は初めてです。
上空を覆う雲は厚く、なんだか薄暗いし、霧雨も相変わらず降ってます。
長男「ボートに乗りたい!!」
ワシ「・・・・・・・・・・・・え〜〜?・・・」
ジイちゃん「やめておけ、こんな日に・・・」
長男「しゅっぱーつ!(聞いてない)」
ジイちゃん「ほんとに行くのか?遊覧船にしとけ」
ワシ「・・・しょうがねーよ、すぐ戻る」
結局、長男と二人で手漕ぎボートで湖へ。
2、30分ふらふらと岸の近くを漕いでいましたが、気がつくと湖の真ん中へ。
ワシ「なんか、こういう日に乗ると、けっこう不気味だな・・」
長男「なにが?」
ワシ「なんか水が黒くてさ、波も穏やかだろ?このボートの下に大きい何かが・・」
長男「何かって、なんだよ!」
ワシ「恐竜だよ、首が長いやつ」
長男「そ、そんなのいるわけないだろ!」
ワシ「おまえ、ネッシーとか知らんのか?」
長男「そ、そ、それがいたとしたら、どうなるんだよ!」
ワシ「・・・食われる」
長男「!!!」
ワシ「ある日、ちょうど今日みたいにどんよりと曇った日だったらしい。ワシらのような親子がボートに乗ってこの湖の真ん中へやって来てな・・・今いる場所だ」
長男「・・・・・」
ワシ「どうやら禁止されているミヤベイワナを釣ろうとしていたんだな。二人は糸を垂らすと、あっという間に獲物はかかった。手つかずだから、入れ食いだ」
長男「いいなぁ、そ、そんで?」
ワシ「二人はたった20分で15匹も釣ったらしい。そしてその息子が糸を垂らして数分後、また獲物がかかった。今度は大物らしく、そいつとしばらく格闘しているとボートがバランスを崩して、ひっくり返ってしまった。父親はあわてて息子を抱え、岸に向かって泳ぎ始めた。その時父親に抱えられていた息子は、岸とは反対側を眺めていたんだが、その時見たんだ」
長男「・・・なにを?」
ワシ「水中から現れた、濃い緑色の長い首だ」
長男「ゴクッ・・」
ワシ「その息子は叫び声すら上げることが出来なかった」
長男「そ、そして?」
ワシ「身体の大きさの割には小振りな頭がスッと近づいて、父親の下半身に噛み付いた。噛み付いたというよりは咥えたと言う感じだな。その怪物は息子もろとも冷たい水中へ引きずり込むんだ、バキバキと音を立てながら・・・体はバラバラにされて食べられてしまうし、食べ残しがあっても魚たちの餌になる。それにここは深さが百メートル。沈んだ死体が見つかることは無い。・・・そんな人たちが今まで何人もいるらしいぞ」
長男「ど、どうして、死体も無いのにそんなことがあったって分かるのさ!ただ船が転覆して溺れただけかもしれないじゃないか!」
ワシ「目撃者がいるのさ。ただそんな話、誰も信じないだろ?証拠は無いんだし」
長男「じゃ、じゃあ、その目撃者ってどこにいるんだよ」
ワシ「近くにいるよ」
長男「?」
ワシ「・・・・・お前のジイちゃんだ」
長男「・・・・・・・・・・・・・・・・うそでしょ?・・・」
黒い湖面は波一つなく静寂を保っています。
ゴゴゴゴゴ・・・
何やらエンジン音が聞こえてきました。
長男「あれ!」
長男が指差す先に遊覧船が見えます。
そして船の後部デッキからジイちゃんとバアちゃんが手を振ってます。
長男「おーーーーーい!」
手を振るワシら。
ワシ「ん?シュリ坊はどうした?いるか?」
長男「父ちゃん!!あれ!!」
船内を後方から前方へ走る猿のようなシルエットを発見。
ワシ「あいつ、何をする気だ?」
後ろから慌てて後を追うバアちゃんと操舵手のジイさん。
ワシ「あの野郎、船を乗っ取る気だ!!!」
長男「まさか!」
しかし、操舵室で舵を切ろうと操舵輪に手をかけた瞬間、後から追いついたバアちゃんと操舵手によって敢えなく取り押さえられるシュリ坊。二人の活躍により、シージャック事件は未然に防がれたのでした。
後から聞く所によると、慌てて取り押さえた後、操舵室で記念写真を撮ってやるとご機嫌でその場を去ったとのことです。
長男「ところで本当なの?さっきの話」
ワシ「ん?恐竜の話か?」
長男「うん」
ワシ「そんなもん、いるわけねーだろ」
長男「そ、そうだよね」
ワシ「ネス湖のネッシーだって大規模な調査を何度もしてるのに未だに見つからないんだから、恐竜なんていないのさ、どこにも」
長男「でも恐竜じゃない何かがいるかも知れないよ」
ワシ「ああ、そうかもな、いたら父ちゃんも見てみたいよ」
長男「うん、俺も」
ワシ「さ、帰ろう、時間だし雨で体が冷えちまった」
岸へ向けボートを漕ぎ出すと、暗い水中のその先で、ゴツリとオールに何かが当たる感触がした。
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プロフィール
HN:
すずめ映像
年齢:
53
性別:
男性
誕生日:
1972/02/22
職業:
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趣味:
映画みたり、絵かいたり
自己紹介:
管理人のすずめです。
松葉町に住んでます。
子どもが二匹います。
放射能が嫌いです。
よろしくお願いします。
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